「ストキャスティクスって何だろう?」「ストキャスティクスの使い方は?」と、疑問に思っていませんか?
ストキャスティクスはオシレーターの一種で、世界中の投資家やトレーダーが多用するテクニカルツール(インジケーター)となっています。
本記事では、「オシレーターとは何か?」という基本的なところからご説明したうえで、ストキャスティクスの概要や具体的な使い方について解説していきます。
ストキャスティクスとは?
ストキャスティクスは、世界中の投資家やトレーダーに使用されている代表的なオシレーターです。
そもそもオシレーターって何?
ストキャスティクスについて解説していく前に、ストキャスティクスが分類される「オシレーター」とは何なのかについて説明していきます。
チャート分析に使用されるテクニカルツール(インジケーター)は、トレンド系とオシレーター系の2種類に分類されます。
トレンド系は、チャートのトレンドを見るものであり、移動平均線や一目均衡表などが代表的です。
オシレーター系は、相場全体の「買われ過ぎ」「売られ過ぎ」を数値で計測するもので、ストキャスティクスやRSI、MACDなどが代表的です。
一般的には、トレンド系は順張り投(トレンドフォロー)に強く、オシレーター系は逆張り投資に強いとされます。
オシレーターは、マーケットにトレンドがなく、方向性のない状況において非常に有効です。
オシレーターを使うことによって、周期的に訪れる横ばいや方向感のないマーケットでも利益を得ることができます。
ただ、これは逆に言えば、トレンドがあるときにはオシレーターは機能しなくなってしまうということです。
ストキャスティクスを始めとするオシレーターを使うときは、トレンドの有無を見極めて有効に使っていくようにしましょう。
ストキャスティクスって?
ストキャスティクスは、1950年代にジョージ・レインによって開発されたオシレーターです。
相場の買われ過ぎ・売られ過ぎを見るために使用されるオシレーターとしては、もっともポピュラーなテクニカルツールの一つとなっています。
ストキャスティクスは、価格が上昇するにつれて終値が価格変動幅の上限に近付く、もしくは価格が下落するにつれて終値は変動幅の下限に近付くという観察に基づいて作られています。
ストキャスティクスは、直近の終値価格が、ある一定期間のレンジの中で相対的にどの水準にあるのかを示すものであると抑えておきましょう。
ストキャスティクスでは、%K、%D、Slow%Dの3つの指標が使用されます。
%K、%D、Slow%Dの順に動きが遅くなり、この中でも%Dラインは相場転換シグナルを示すためもっとも重要です。
ストキャスティクスで使用される3つの指標は、それぞれ次のように定義されます。
・%K={(当日終値-過去n日間の最安値)÷(過去n日間の最高値-過去n日間の最安値)}×100%
・%D=((当日終値-過去n日間の最安値の単純移動平均)÷(過去n日間の最高値-過去n日間の最安値の単純移動平均))×100%
なお、過去n日間で使用されるnには、5、9、14が使用されることが多くなっています。
・Slow%D=%Dのz日の単純移動平均。
なお、z日のzには、3が使用されることが多くなっています。
%Kと%Dの組み合わせは「ファースト・ストキャスティクス」。
%DとSlow%Dの組み合わせは「スロー・ストキャスティクス」と呼ばれます。
ストキャスティクスの使い方
代表的なストキャスティクスの使い方を抑えておきましょう。
%Dを使った逆張り
ストキャスティクスのもっともシンプルな使い方と言えるのが、トレンド転換を示す%Dを見て取引する逆張り手法です。
これは、オシレーター系のテクニカルツールであるRSIと同じ使い方です。
ストキャスティクスで使用される3つの指標は、現在の価格が、一定の価格帯を相対化した0から100までのどの位置にあるのかを示しています。
そして、この3つの指標の中では%Dがもっとも重要です。
このため、%Dが80%以上になったときは買われ過ぎ、20%以下になったときは売られ過ぎと判断されます。
つまり、%Dが80%以上になったら高値圏と見て売り、20%以下になったら底値圏からの反発期待で買いとなるのです。
%Dと%K、%DとSlow%Dとの交差
ストキャスティクスでもっとも使用される売買パターンが、%Dと%K、もしくは%DとSlow%Dとの交差を使ったものです。
%Dが80以上にあるときに%Dと%Kが交差したら売りサイン、%Dが20以下のときに%Dと%Kが交差したら買いサインとなります。
%DとSlow%Dの場合には、%DがSlow%Dを下から上に抜けたら買いサイン、%DがSlow%Dを上から下に抜けたら売りサインとなります。
なお、%Dと%Kの交差よりも%DとSlow%Dの交差の方が、より精度が高いとされているため、%DとSlow%Dを使うことが一般的です。
ダイバージェンス
チャート上の価格が新高値や新安値を付けたにも関わらず、ストキャスティクスでは高値・安値を付けていない場合には、トレンドの転換点となる可能性があります。
このような状態は「ダイバージェンス」と呼ばれ、ダイバージェンスに特化したテクニカルツールとしては「MACD(マックディー)」が有名です。
たとえば、「価格は新高値を付けているにも関わらず、%Dが直近の高値を更新しておらず切り下げている。
価格は新安値を付けたにも関わらず、%Dは直近の安値を更新せずに切り上げている。」このような状態はダイバージェンスとなり、逆張りのサインとなります。
ストキャスティクスを使いこなせるようになるには?
ストキャスティクスに限らず、どのようなテクニカルツールでもそうですが、テクニカルツールの概要や使い方を知識として入れただけで利益が出せるほど、投資は簡単ではありません。
ストキャスティクスを使いこなしてより多くの利益を上げられるようになるには、とにかく多くのチャートを見て、ストキャスティクスを使い続けていくしかありません。
ストキャスティクスを使い続けていくと、「どのような場合にストキャスティクスが機能しやすいか?」「こういう場合にはストキャスティクスは参考にすべきではない」といったことがわかってきます。
ストキャスティクスを使いこなせるようになるには、ある程度の経験を積む必要があるということを抑えておきましょう。
まとめ
ここでは、ストキャスティクスの概要や特徴について説明したうえで、具体的なストキャスティクスの使い方についても解説してきました。
ストキャスティクスに代表されるオシレーター系のテクニカルツールは、相場全体の「買われ過ぎ」「売られ過ぎ」を数値で計測するものです。
オシレーターは、レンジ相場で利益を出すことに強い一方で、トレンドがあるときには機能しないことには注意が必要です。
ストキャスティクスでは%K、%D、Slow%Dの3つの指標が使用されますが、とくに%Dラインは相場転換シグナルを示す重要なものです。
ストキャスティクスの使い方は、%Dを使った逆張り、%DとSlow%Dとの交差、ダイバージェンスの3種類がとくに使用されています。
ストキャスティクスを使いこなしてより多くの利益を出せるようになるには、実際のチャートでストキャスティクスを使い続けて訓練を積んでいくしかありません。
ストキャスティクスの概要や使い方について抑えて、投資に役立てていきましょう!
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