2018年1月から始まった「つみたてNISA」は年間40万円まで非課税で、計20年間の長期投資期間があり、コツコツと積み立てて資産形成できる制度です。
金融庁が定めた厳しい条件をクリアした約170本の中からつみたてNISAで投資するファンドを選ぶことになりますが、まだまだ新しい商品なので何を選べば良いかわからない方も多いはず。
そこで今回は投資ファンドを選ぶポイントやおすすめ銘柄を紹介します。これからつみたてNISAを始める方や興味がある方はぜひ、参考にしてみてください。
そもそもつみたてNISAって何?
つみたてNISAの対象となる商品は、金融庁が定めた、「一定の条件」を満たす「投資信託」と「ETF」のみです。
「一定の条件」とは、・投資信託の投資対象・販売手数料・運用管理費用(信託報酬、保有していると掛かる費用)・信託契約期間(ファンドの運用期間)・分配金の頻度、などの項目になります。
「投資信託」とは、証券会社が資金を投資家より集め有価証券に投資し、その利益を投資家に還元するものです。
「ETF」とは「Exchange Traded Funds」の略で、上場投資信託と称されます。
日経平均株価や東証株価指数などの特定の指数の動きに連動する運用成果を目指し、東京証券取引所などの金融商品取引所に上場している投資信託になります。市場の上がり下がりで成績を把握でき、運用の透明性が高いとされています。
2019年10月4日時点では、「インデックス型投資信託」が148本、「アクティブ型投資信託」18本、「ETF(上場株式投資信託)」7本が、対象商品に選ばれています。
従来の投資信託に比べると選択肢は限られますが、逆をいうとあまり迷うことがなく選ぶことができます。
つみたてNISAは、国民の金融リテラシーを高めたい金融庁が推し進める資産形成の方法であるため、販売手数料が無料(ノーロード)、信託報酬も割安と、投資初心者にはおすすめの制度なのです。
つみたてNISA(ニーサ)の特徴
1.利益が非課税
本来は株式投資等の売買による利益や配当金等の利益(配当益)を得ますと、その利益に対して20.315%の税金を支払わなければなりません。
つみたてNISA(一般のNISAも含む)は利益が出ても税金を支払わなくて良い「非課税制度」として税制面で優遇されています。
2.少額から積立投資できる
つみたてNISA口座では、年間40万円まで積立投資が可能となっています。
一年で40万円ということは、毎月均等に投資すると3万3333円となり、最大20年間の長期投資だと大きな利益になることもあります。
現状、手元にある資金は少ないけれども、将来のために積み立てをしたいという方には、つみたてNISAはおすすめです。
3.デメリット
対象商品が少ないですので、より多くの商品から投資する商品を選びたい方にはあまり適していません。
また、積立投資額が年間40万円までなので、高額投資をしたい方にも向いていません。
「NISA」と「つみたてNISA」の違い
通常のNISAとつみたてNISAは、初心者の方でも投資を始めやすいようと金融庁の主導の下設置された非課税制度で併用することはできません。
すでにNISAの取引口座があり、つみたてNISAも始めたいと思っている方は注意しましょう。
一般のNISAとつみたてNISAは投資対象商品の種類が違います。
信託やETFなどのインデックスファンドの積み立てに特化するならつみたてNISA、現物株やさまざまな銘柄に投資をしたいなら、一般NISAを選んだ方がいいでしょう。
また、一般NISA口座は基本的に非課税投資期間が5年間で、年間120万円を5年分として、600万円まで非課税で投資できます。
(ただし、ロールオーバーの手続をすれば最大で非課税投資期間が10年となります)
一方、つみたてNISA口座では、最大で20年間、非課税投資期間となります。
年間40万円を20年分として、最大で800万円まで非課税で投資できます。
(ただし、現段階では一般NISAは2023年、つみたてNISAは2037年に制度の終了を予定しています。始めた年から20年間 毎年40万円が非課税です。2037年に投資した つみたてNISA40万円は、最長2056末まで 運用可能です)
証券会社によって取り扱っている数が違う
現在、国内にはさまざまな証券会社により、計181本もの対象商品が取り扱われていますが、証券会社によって内容は異なります。
どの証券会社にどんな商品があるのか、投資したい商品を扱っているか、口座開設前に事前に確認しておきましょう。
つみたてNISAで運用する商品選びのチェックポイント
では実際につみたてNISAで運用する商品を選ぶ際のポイントをいくつかご紹介します。
1.負担する手数料(信託報酬)はなるべく安くおさえる
信託報酬とは、投資信託を保有している間、手数料として払う費用になります。
0.5%差があるだけで、毎月3万円を20年間積み立てると、運用利益は75万円もの差が出ます。
長期投資がメインとなるつみたてNISAで運用する商品を選ぶときは、信託報酬が安いものを選びましょう。
2.「純資産総額」が高い水準で継続して増えていること
純資産総額が右肩あがりに上昇している商品は、それだけ投資家からの人気が高いことを意味しています。
新しく運用が開始された投資信託に関しては純資産総額が少なく、判断が難しい場合もありますが、商品を選ぶ際は、この純資産総額を必ずチェックしましょう。
また一定期間にどれくらいの金額分の投資信託が買われたかを表している買い付け約定金額も判断する基準となります。
3.インデックスファンドであること
株式指標に近い値動きをするインデックスファンドであることも重要なポイントの一つです。
近年ではアクティブ運用の約92%がインデックス運用に負けているというデータが発表されています。
アクティブファンドとは、ファンド・マネージャーと呼ばれる運用担当者が積極的に株価指数以上の成績を目指す投資信託のことをいいます。
投資対象となる商品は分散され市場全体の値動きに連動するインデックスファンドの方が安心といえそうです。
つみたてNISAおすすめファンド
eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)
海外株式 ノーロード
このファンドは、日本を含む世界各国の株式、公社債および不動産投資信託証券市場の値動きに連動する投資成果を目指しています。
複数の資産、数多の国、地域に「完全固定型」で投資を行い、運用管理費用が0.18%を切っているのは画期的。
分散、低コスト、お手軽の三拍子が揃っていて、投資初心者に優しいバランスファンドです。
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
海外株式 ノーロード
MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み、円換算ベース)に連動する投資成果を目指して運用されているインデックスファンドです。
このファンド一つで、先進国、新興国、日本株に分散投資ができます。
またコストも安く、王道といっても過言ではないファンドですから迷ったら選ぶと良いでしょう。
楽天・全米株式インデックス・ファンド(愛称:楽天・バンガード・ファンド(全米株式))
海外株式 ノーロード
バンガード社(運用資産残高は約615兆円)が運用する「バンガード®・トータル・ストック・マーケットETF」を実質的な主要投資対象とします。
米国ETFでしか買えなかったVTIを低コストで日本円のまま購入できるのです。
VTIとは、バンガード社が米国市場全てへ投資する海外ETFのことです。
大型株だけでなく、小型株も含めてアメリカ市場に丸ごと投資できるところが魅力的となっています。
<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド
海外株式 ノーロード
このファンドは、MSCIコクサイ インデックス(配当込み 円換算ベース)への連動を目指しています。
純資産残高の増加に合わせて既存ファンドの信託報酬を断続的に引き下げることを実践している良心的なファンドです。
先進国株へ投資できるインデックスファンドの中では一番低コストで運用できるので投資家から非常に人気のある商品でになっています。
まとめ
投資するファンドの内容や仕組みを事前にしっかりと把握しておきますと、つみたてNISAの魅力は無限大に広がります。
老後不安のために積み立てをして、少しでも備えておきたいと考えている方は、ぜひ早めに始めることをおすすめします。
積み立てには時間という要素も重要になるからです。
金融庁が推し進めている、つみたてNISAは2037年に終了を予定しています。
低金利で預金を現状維持するより、今のうちからつみたてNISAでコツコツと資産を増やしていきませんか?