アメリカ市場の株価指数は、ダウ平均がもっとも有名ですが、S&P500指数について抑えておくことも重要です。
ダウ平均とS&P500指数という株価指数の名前は知っていても、具体的な構成銘柄などについては詳しく知らない方も多いのではないでしょうか?
また、S&P500指数には、指数に連動するETF・投資信託があるため、インデックス投資をすることも可能です。
ここでは、ダウ平均とS&P500指数の違いに加えて、S&P500指数に連動する代表的なETF・投資信託についても解説していきます。
指数とは?
S&P500指数は、アメリカの金融情報会社であるS&Pダウ・ジョーンズ・インデックスが算出しているアメリカ市場の株価指数です。
アメリカの主要企業の中から、流動性がある大型株を中心に代表的な500銘柄から構成されています。
「S&P~~」という株価指数には、「S&P100」や「S&P600」、「S&P1500」などもありますが、S&P500指数はもっとも有名で、ベンチマークとして多くの機関投資家が参考としています。
S&P500指数は、企業の時価総額をベースに算出される株価指数であることが特徴です。
1941年から1943年における平均指数を10として算出され、2019年11月1日時点では3,066.91を付けています。
ダウ平均とS&P500指数の違いとは?
ダウ平均とS&P500指数は、アメリカ市場の状態を表す2大株価指数として、世界中の機関投資家が投資の参考にしている重要指標です。
ダウ平均とS&P500指数の違いをまとめると、次の表のとおりです。
ダウ平均 | S&P500指数 | |
構成銘柄 | アメリカ経済を代表する30銘柄 | アメリカ市場の大型株500銘柄 |
時価総額 | アメリカ株の25% | アメリカ株の75% |
算出方法 | 平均株価から算出 | 時価総額から算出 |
これらの違いについて具体的に見ていきましょう。
構成銘柄の違い
ダウ平均は、アメリカ経済を代表する30銘柄から構成されています。
かつてはニューヨーク証券取引所(NYSE)上場銘柄のみで構成されていましたが、現在では新興市場であるNASDAQ銘柄も選出されています。
S&P500指数は、ニューヨーク証券取引所・NASDAQ・NYSE MKTに上場している、時価総額が高い大型株500銘柄から構成されています。
また、S&P500指数は、アメリカ企業の株価指数であることが重視されているため、いくら時価総額が高い銘柄であっても、アメリカ企業でなければ対象外とされることが特徴です。
時価総額合計の違い
ダウ平均は、わずか30銘柄で構成されているものの、その時価総額の合計はアメリカ市場の25%以上を占めます。
S&P500指数は、アメリカ市場の時価総額が高い500銘柄から構成されていることもあり、時価総額の合計はアメリカ市場の75%以上を占めます。
アメリカ市場全体の動向を見る上では、ダウ平均よりもS&P500指数の方が優れていると言えるでしょう。
また、ダウ平均は30銘柄に絞り込んでいることもあり、アメリカを代表するIT企業であるアマゾン、グーグル(アルファベット)、フェイスブックが含まれていません。
算出方法の違い
ダウ平均は、構成銘柄30銘柄の株価を単純平均した指数によって算出されます。
これは、225銘柄の単純平均から求められる日経平均株価と同じです。
このため、ボーイングやアップル、ユナイテッドヘルスグループなどの株価が大きい値嵩株の影響を受けやすいことが特徴です。
S&P500指数は、構成銘柄500銘柄の時価総額をベースに算出されます。
これは「時価総額加重平均型株価指数」と呼ばれる算出方法で、東証株価指数TOPIXをはじめ、世界中の多くの株価指数で使われている算出方法です。
S&P500指数は、時価総額をベースに算出されるため、時価総額が大きい銘柄の影響を受けやすい特徴があります。
2019年11月6日時点では、S&P500指数の時価総額上位10銘柄は次のようになっています。
銘柄名 | 時価総額(千ドル) |
アップル | 1,142,496,729 |
マイクロソフト | 1,102,057,260 |
アマゾン・ドット・コム | 893,282,809 |
フェイスブック | 467,624,906 |
JPモルガン・チェース・アンド・カンパニー | 404,922,150 |
アルファベット | 386,951,872 |
ジョンソン&ジョンソン | 343,248,798 |
ウォルマート・ストアズ | 338,071,606 |
エクソン・モービル | 309,251,559 |
ビザ | 302,969,300 |
S&P500指数に連動するインデックス型ETFや投資信託に投資する際には、上記の銘柄の比重が高いということを抑えておきましょう。
指数に連動する代表的なETF・投資信託
「人生100年時代に備えて、アメリカ株で資産運用したいけど、個別銘柄ではなくてインデックス投資をしたい!」と思っている方は多いのではないでしょうか?
世界中の投資家にもっとも注目されている株価指数であるS&P500指数には、連動するETFや投資信託が数多くあります。
アメリカ株に個別株投資する場合には手数料が高くなってしまいますが、ETFや投資信託なら個別株に比べて手数料を小さく抑えられることも大きなメリットです。
日本の証券会社から手数料が安く簡単に投資可能な、S&P500指数に連動する代表的なETFと投資信託を見ていきましょう。
指数に連動するETF(上場投資信託)
ETFとは「上場投資信託」のことで、株式銘柄と同じように、証券取引所に直接上場している投資信託のことです。
年間120万円までの投資枠が非課税となるNISAの対象にもなります。
S&P500指数に連動するETFとしては、【1547】上場米国株式S&P500と【1557】SPDR S&P500 ETFの2つが代表的です。
【1547】上場米国株式S&P500は、日興アセットマネジメントが運用するETFで、直近3年間の上昇率は+57.87%となっています。
【1557】SPDR S&P500 ETFは、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズが運用するETFで、直近3年間の上昇率は+64.53%となっています。
銘柄コード | ETF | 上昇率(直近3年間) |
1547 | 上場米国株式S&P500 | +57.87% |
1557 | SPDR S&P500 ETF | +64.53% |
指数に連動する投資信託
投資信託は、ファンドに信託報酬という手数料を払って、運用を委託してもらう金融商品です。
ETFに比べると、信託報酬の分だけ手数料が掛かりますが、NISAやつみたてNISAで運用することが可能です。
S&P500指数に連動する投資信託は、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)とiFree S&P500インデックスの2つが代表的です。
ずれの投資信託も、NISA・つみたてNISAに対応しており、老後に備えて長期・分散投資できます。
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)は、信託報酬が0.1650%と非常に安く、直近3年間の上昇率は+39.82%となっています。
iFree S&P500インデックスは、信託報酬が0.2475%と安く、直近3年間の上昇率は+39.82%となっています。
投資信託 | 信託報酬(手数料) | 上昇率(直近3年間) |
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) | 0.1650% | +39.82% |
iFree S&P500インデックス | 0.2475% | +39.82% |
まとめ
ここでは、ダウ平均とS&P500指数の違いと、S&P500指数に連動する代表的なETF・投資信託について詳しく解説してきました。
ダウ平均とS&P500指数の違いは、構成銘柄と算出方法にあります。
ダウ平均は30銘柄で構成されているため、GAFAの中ではアップルしか入っていない一方、S&P500指数は時価総額をベースに算出されるため、GAFAから受ける影響が大きいことがポイントです。
また、S&P500指数に連動するETF・投資信託は、NISA・つみたてNISAに対応していることから、人生100年時代における資産運用として活用もできます。
日本株だけを手掛ける場合においても、アメリカ市場の状態を示すS&P500指数は注目しておくべき重要指数です。
S&P500指数について理解しておき、投資や資産運用に役立てていきましょう。